スウェーデンガラスの物語

ガラスの壮大な お話

 このお話を語る前に、ワインガラスなどにつながるガラス作りの歴史を少々紐解く必要があります。ガラス作りの技術は、12世紀頃イスラムのガラス芸術を吸収したイタリアヴェニス(ムラーノ島)で開花しました。これが「装飾の美しい」ベネチアンガラスの起源です。当時、ガラス作りの技術は高温に加熱することや、溶かしたガラスを息を吹きかけてガラスの形状にすることが難しく、職人達をヴェニスの北にあるムラーノ島に集め技術の流出を恐れるあまり隔離していたくらいに貴重なものでした。

 その後、ガラス技術はフランスなど隣国各地へ伝わり王室ご用達などバカラで有名なガラスが生まれ「貴賓さ」「上品さ」がガラスに備わるようになりました。さらに17世紀にはいると、東欧のボヘミア地方に伝えられ有名なボヘミアンガラスが誕生しました。 ボヘミアンガラスで有名なリーデルは、特に「形」にこだわり、おいしくワインを味わう工夫をこらしたことで有名になりました。

 その技術を持ったボヘミア職人達が18世紀半ばにスウェーデンの南東部コスタ(Kosta)を訪れ、これらの技術をスウェーデンに伝えたのです。コスタ(Kosta)はクリスタルガラス王国と呼ばれ今日もガラス作りの地として栄えています。ボヘミア職人達が伝えたベネチアの「装飾」、ボヘミアの「形」の技術をしっかりと受け継ぎ、これにスウェーデン伝統の「北欧デザイン」が加わり三拍子揃った「スウェーデンガラス」が誕生しました。

 その後もグラス製作技術はコスタ(Kosta)が起点となり、経験豊かな職人によりイッタラなどで有名な隣国のフィンランドに紹介され、北欧デザインの広がりをみせています。このように800年の間にわたり積み重ねられてきたグラス技術は、ここスウェーデンの地で結集して現在にいたっています。

 これが、800年前から悠々と伝わるガラス作りの壮大な物語のあらすじです。

800年前から伝わるガラスのルーツ

1.イスラム   :ガラスの発祥の地
2.ベネチアン  :「装飾技術」が美しいベネチアンガラスなど
3.欧州に拡大  :「貴賓」「上品さ」のあるバカラ、ロイヤルコペンハーゲンなど
4.ボヘミアン  : 「形」づくりの技術が優れる、リーデルなど
5.スウェーデン : スウェーデン特有の「北欧デザイン」「良質の原材料」の特徴が加わり、「装飾と貴賓」「形」「北欧デザイン」が融合した「スウェーデンガラス」が誕生

 では、この三拍子揃った「スウェーデンガラス」の特徴とはいったいどんなんものなのでしょう?

 「スウェーデンガラス」が、生まれ繁栄した理由には「ベネチアンの装飾」「欧州の貴賓」「ボヘミアンの形作り」の技術を持つ職人による伝承が背景にありました。さらに、スウェーデン特有の「ガラスに適した原材料の存在」「工業国であるスウェーデン職人の技術と技能」「シンプルな北欧デザイン(スカンジナビアン)の伝統」があります。

 このように、ガラスデザインに「ベネチアンの装飾」と「ボヘミアンの形作り」の技術を受継いでおり「装飾」「貴賓さ」とともに「ワインなどの美味しさ」を伝える最適なガラスの「形」の技術を受け継いでいます。これらはガラスづくりに受継がれた、血統、DNAといっても過言ではありません。

 「ガラスに適した原材料」は、刃物で有名なスウェーデン鋼と同様丈夫で割れにくいガラスでワインなどお飲物の味と香を忠実に伝えます。また、スウェーデンには、ガラス作りに欠かせない良質の水があります。「スウェーデン職人の技術と技能」は自動車のボルボ(VOLVO)に代表されるような工業国であるスウェーデンのなかで、しっかりと技が伝承され、21世紀のハイテク時代を迎えた今でも手作り技術と技量にこだわり、800年にわたるグラスの伝統技術を伝えています。

 さらに、「シンプルな北欧デザイン」がこれに加わり、日本人にとって親しみやすい スカンジナビアンデザインの風味が自然とグラスに備わっています。これが「装飾」「形」「デザイン」の三拍子揃った世界最高のグラスといえる「スウェーデンガラス」の特徴です。

高温のガラスから職人の手作りで
確かな技術から生まれるガラスの数々

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